橘ゆりさんの社交術のベースをつくった、人生の“ビター”な思い出。
「キャラメライフ」のプロダクトをこよなく愛する憧れの人にインタビューする連載の第37回目。今月は、フリーランスMCやモデルとして活躍する橘ゆりさんをゲストにお迎えした。イベントの司会など、多くの人の発言をまとめながら円滑にコミュニケーションする能力の礎を築いた経験とは?
──橘さんは、イベントやセミナーなど人前に立たれるお仕事のプロフェッショナル。その社交スキルは生まれ持ってのものなのでしょうか?
橘:いえ、もともと楽観的な性格ではあるのですが、ものすごくオープンというわけではないですよ。それに気づいたのが、LAへの留学時代。慣れるまでに時間がかかり、なかなか“ビター”な期間でした。
──高校を卒業されてすぐに留学されたんですね! 勇気とチャレンジ精神がないと、なかなか踏み切れないことです。
橘:何も考えていなかったんです。海外ドラマへの憧れというとにかくミーハーな気持ちから、すぐに向こうへ行きたくて(笑)。高校卒業直後の3月に渡米して、半年間は現地の語学学校に通い、9月から2年制のコミュニティカレッジに在籍しました。
渡航前は楽しみでしかなく、ワクワクした気持ちで海を越えたものの……行ってみると、友達をつくるのが意外と大変で! 新しい環境へ飛びこむことにまったく抵抗がなかったはずなのに、自分は意外とシャイなんだなと、そのとき初めて知りましたね。
──どのような場面でそれを感じられたのでしょうか。
橘:私が入学したタイミングでは、クラスにすでにコミュニティができてしまっている感じで。欧米人の文化として、挨拶は誰とでも気兼ねなく交わすのですが、そこから一緒に遊びに行くとかお茶する“友達”としての関係に発展するまでに高いステップがあるんですよね。そんなふうに日本とは勝手が違ったこともあって、なかなか深い話ができる友人ができず、毎日“ビター”な想いを噛みしめていました。
LAではホストファミリーのお家にステイさせてもらっていて、その家族とは良好な関係を築けていたのですが、やっぱり早く友人が欲しかったですね。
──その局面は、どういったきっかけで乗りきられたのですか?
橘:カリキュラムが進んで、専攻別に分かれたところぐらいから自然と友達ができるようになりました。そこで初めて、“友達にならなきゃ”と、気負いすぎていた自分に気づいたんですよね。
よく考えると、日本人どうしでだって誰とでも親友になるわけではなくて。普通、趣味や興味のあることが同じ人と一緒にいますよね。無理せず誠意を持って接していたら、国籍や言語は関係なくナチュラルにいろんな子と仲良くなれるようになっていきました。
留学では、理想と現実のギャップへの対応力や、人づきあいの本質を学べたと思います。自分の中のシャイな一面を知り、そこも自分自身で受け入れてあげられるようになったことは、今の仕事のうえでも生かされているかもしれませんね。
──人づきあいの方法も人それぞれですから、まずは自分の個性を知って受け止めることが大事なんですね。
次回は、橘さんが気持ちをリフレッシュするための“スイート”な方法についてお伺いします。
橘ゆり
MC、アナウンサー、モデル。ITコンサルタントや秘書を経て現職に。イベント司会や記者発表会から子ども向けの絵本の読み聞かせまで幅広く対応。東京オリンピックの聖火リレーでは日英MCを務め、全国30カ所を担当。
Edit: Satoshi Nakamoto
Photos & Video: Kazumasa Kawasaki
Text & Interview: Misaki Yamashita